コラム「行列のできるサンプル相談所」
いよいよ最終回、スタジオバーズ・ビジネスコースでの「カウンセリング活用術」。インタビュアーのぎたんが、クリエイター松田佑貴と堀場亮佑に話を伺います。今回は、サンプル収録がうまくいくポイントについて聞きます。
のぎ
「二人が思う、サンプル収録がうまくいくポイントって何でしょう?」
堀場「どうしてもみんな、万人受けするものを目指してしまいがちなんですよね」
松田「それよりも、一人の人に絶対に刺さるようにすると成功確率が上がる気がします」
堀場「どこかに拾ってもらおうとして。あれもこれも入れるより、バンバン捨てることができた方が、良くなることが多いです。『これはやめて、1人だけに刺さるようにがんばろ!』捨てて輝くみたいな笑」
のぎ「肉付けするより、削るんですか!!」
堀場「よっぽど上手い人じゃないと、いろんな幅をみせてもうまくいかないことが多いんですよ。大体の人は、武器を1つ見つけ出して、もう1つをなんとか捻り出していって…『ドーン!』『チョロ』『ドーン!』という感じ」
松田「それでサンプルの尺が2分弱とかになっちゃってもいいんですよ」
のぎ「2分!びっくり。でもそっちの方が効果的であれば、聞きやすいのかもですね」
堀場「絞り込んだ時の方が、出来が良かったりするんです」
松田「絞り込むのって、いざやるとなると怖いというか。ファミレスみたいにハンバーグの他にもスパゲッティとかプリンとかを一緒に並べたくなる心理ってありますよね」
のぎ「プリン!でもコンビニの方がむしろプリンは美味しいですよね。品揃えは関係ないってことですか?」
堀場「ファミレスの品揃えは大手だからできること。同様に、売れている人は表現の品揃え、すなわち幅を出してもいいんです。でも売れてない人は絞り込むことで、何とか輝かせていくことが勝算!」
松田「ここで言っておきたいことがあるんです。今までのマーケティングと違いますが、プレイヤーによっては、実力を確かめるためのサンプルもあるんです。サンプルを録って『成長できた』という声が多くあります。サンプル作りは最強のレッスンかもしれません」
堀場「そうですね。もちろん仕事に繋がることが一番ですけど、必ずしもそれだけではないと思います。いろんな読みに挑戦したことで、成長のきっかけになったことが、自分自身の経験としてありました。お金をかけて収録すると、真剣さが違いますから」
のぎ「成長のためでもあるのですね。もしかしたら、それもマーケティングのステップなのかも」
のぎ「最後に、ナレーターとして、表現者として大切なことって何でしょう?」
堀場「エンターテイナーであるという意識です。面白がらせたいとか、楽しませたいとか。エンタメに対する何かは欲しい!最近の報道だってエンタメになってますから」
松田「面白がってどんどんやってくれた方が良いサンプルになると思います。ダメなのは、上手くやろうとすることに、意識を向けすぎることだと思う」
のぎ「うまくやる?高低をちゃんとつけることを意識するとか?」
松田「練習ではやって下さい。抜群の技術がある人ならいいかも知れないけど、そうじゃない限りは、とにかく相手に楽しんでもらう。そして自分も楽しんでやった方がいい」
堀場「あまり技術とか、丁寧に読むとかにこだわりすぎちゃうと、聞いててつまらないですね。ピアノの発表会じゃないんだから」
松田「サンプルもライブ感があるとワクワクしますもんね。ディレクターがナレーターを探していて、サンプルを10人とか20人とか聞いていると、そのうち嫌になってくると思うんです。その時に、『おっ』って言わせるライブ感があると勝てます」
のぎ「確かに!『おっ』って大事ですね」
堀場「表現は小さく縮こまらないで、もっと大きく大きくやりましょう!そしてみんないいサンプル作って猪鹿蝶で売れましょう!」
のぎ「作り手を楽しませる気持ちで収録するということですね!松田さん、堀場さん、ありがとうございました!」