カウンセリング活用術

 

コラム「勝ち抜くためのボイスサンプル」

リサーチでポジションを把握

畠山「収録前にプレイヤーに準備しておいて欲しい事ってありますか?」
堀場「最低限テレビを見てきて欲しいです。どんな番組がOAされていてどんなナレーターがいるかなどです」
松田「いま活躍している人のサンプルもできるだけ聞いてきてほしいかな。ネットで探せば聞けますから。他のナレーターと比較して自分のポジションや具体的なライバルをイメージしてほしい」
堀場「色んな表現を聞いて、”どんな構成なんだろう”とか”なんでこう読んだんだろう”とか主体的に聞ける様になると耳も育ちますし」
松田「多様な表現に触れることでアイデアや発想って生まれてくるのでカウンセリングの効果も高くなりますね」
堀場「あ!原稿を自分で書いてみるって言うのもすごい勉強になりますよ!原稿作るには必然的にテレビや他のナレーターのサンプルを聞きますから笑」


捨てる勇気

畠山「サンプル作りのポイントって何でしょうか?」
堀場「僕は捨てる勇気だと思います」
畠山「捨てる勇気?」
堀場「サンプルってどうしてもみんな、万人受けする幕の内弁当的なものを目指しがちなんですよね。でも自分の得意なもの一点に集中して他はやらないぐらいの方が、テレビ番組においては勝率は高いと思います」
松田「新人だろうとトッププレイヤー達と席を奪い合うのですから、生半可の技術だと、そもそも太刀打ちが出来ないんですね」
堀場「絞り込むのって怖いっていうのもわかります、だからあれこれ保険を掛けたがるのですがそうすると結局どんどん輪郭がぼやけてくるんですよね。だから捨てる勇気が必要かなって」
畠山「確かに、印象に残るサンプルってそのナレーターが何屋さんかがはっきりわかるものが多いですね。例えばスポーツなどジャンルを絞ったものや、声質を活かしたもの、原稿自体が尖ってるものとかかな。ラーメン屋なのかカレー屋なのかはっきりとしてるもの」



声のタグ付けと、大味でもカラーを

松田「声のタグ付はサンプル作りにおいてとても大切です。何のナレーションの人か、絞り込んで認知されること。そうじゃないと候補にすら出ずらいです」
堀場「逆を言えばタグ付けされていれば、トッププレイヤーの席を取っちゃえるジャイアントキリングが出来ることがあるんです。スタジオバーズにはこの”考え方”があるから、今まで数多くのナレーターをOAに送り出すサンプルを作ってこれたんだと思います」
松田「あ、あともう一つ!これもよく抜け落ちてしまう方が多いんですが番組で読むナレーションとサンプルで選ばれるナレーションは違うという点ですね」
堀場「そうですね、少し派手目に作った方が印象にも残りますし、番組のイメージもしやすいですよね」
松田「それに大きな表現が出来ると現場で抑えた表現はできますが、逆だと難しいですよね。なので大きな表現にチャレンジして欲しいですね」
堀場「これは言ったら怒られるかもしれませんが、ぶっちゃけ微妙なニュアンスの変化わかる人ってディレクターでも1割程度しかいないと僕は思っています笑。だったら”大味でもしっかりとカラーを残せた方が”勝率は高いかなって思います」



サンプル作りはナレーターの成長剤

松田「ちょっと別の話になっちゃうのですが、サンプルを録って『成長できた』という声をよく聞きます。サンプル作りはナレーターにとって最強のレッスンかもしれませんね」
堀場「そうですね。もちろん仕事に繋がることが一番ですけど、必ずしもそれだけではないと思います。いろんな読みに挑戦したことで、成長のきっかけになったことが、自分自身の経験としてありました。お金をかけて収録すると、真剣さが違いますから」
松田「それで言うと、以前作ったサンプルをもっとブラッシュアップしてみるって言うのも良いかもしれませんね。過去のサンプルの構成やキャッチーなネタを挟むとかして更新する事で比較もしやすいし、成長に繋がると思います」
畠山「そうか!サンプル作りの過程がすでにナレーターとしての成長に繋がるんですね」
畠山「最後にナレーターにとって大事なことって何でしょうか?」
堀場「エンターテイナーであるという意識です。面白がらせたいとか、楽しませたいとか。エンタメに対する何かは欲しい。最近の報道だってエンタメになってますから」
松田「面白がってどんどんやってくれた方が、良いサンプルになると思います。ダメなのは、上手くやろうとすることに、意識を向けすぎることだと思う」
堀場「あまり技術とか、丁寧に読むとかにこだわりすぎちゃうと、聞いててつまらないですね」
松田「サンプルもライブ感があるとワクワクしますもんね。ディレクターがナレーターを探していて、サンプルを10人とか20人とか聞いていると、そのうち嫌になってくると思うんです。その時に、『WOW』って言わせるライブ感があると勝てます」
畠山「確かに!『WOW』って大事です」
堀場「表現は小さく縮こまらないで、もっと大きく大きくやりましょう!そしてみんないいサンプル作って猪鹿蝶で売れましょう!」
畠山「松田さん、堀場さん、ありがとうございました!」


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